さて、ステップ1でなんとなく飼育道具や、餌などの知識をつめこんだところでステップ2に移りましょう。
この章ではアピストグラマを飼育するための水槽のセットアップから、魚の導入、選び方、その後日々の管理など最低限アピストが健康に飼育できる状態を目指します。
その後は、水草水槽で泳がせたり、ブリードしたり、系統を維持するなどを目指します。
■STEP.1にてアピストグラマの飼育器具について説明してまいりましたが、いよいよ器具を購入し、水槽のセットアップ、水づくりの考え方などについて私の経験とショップなどで教えていただいた内容を説明してまいります。
1.予算
■必須ですね。計画無しに成功は無いでしょう。
なんて大げさなことをいってますが、まぁ多少お金を使う趣味ですので予算を立てたいと思います。
一般的におすすめなメーカーや、個人的オススメ器具達で予算を立ててみます。
以下アピストグラマを45cm水槽にて始める安くてそこそこ美麗なおススメプラン?
※通販ベースなのでA●Aはなしね・・・。
(価格帯は2019年7月現在のネット実勢価格を参考。通販だと安いのいっぱいだね~。)
初期設備費で15,000円ぐらい。上のプランだと小・中学生ぐらいだとちょっと高いかもしれません。
しかし、比較的大人の趣味なのでこのぐらいからスタートしたいところ。
■水槽は、昨今はオールガラス水槽が一般的で、美観を損ないません。安くていいものが多く出回っていますので、今回はこのあたりを選びました。大きさは30cmキューブは繁殖まで考えると扱いやすいです。あんまり小さいと水質維持がしづらいので難易度上がります。
45㎝水槽あたりも繁殖で考えると扱いやすいです。60㎝オーバーだとちょっとメンテが・・・と言う感じでしょうか。
■フィルターは定番なのでこんなものでしょう。扱いやすくコスパの良いフィルターです。裏技でスポンジを大きいのに変えるとさらに良いなんてことをしている人もいます。
■エアポンプも定番なのでこんなものでしょう。もうちょっと安いものもありますが、30㎝キューブ水槽ではこのあたりが良いでしょう。
■照明は、LEDがコスパやランニングコストが安いので良いと思います。
落ち葉の下とかに居る魚らしいので、特段明るさはいらないのですが、観賞用ですのでそれなりに明るい環境で観察したいですね。
ヒータも定番オートヒータ。(要は25℃ぐらいに温まれば良いんです。)
最近は安いですね。サーモ付きの物を買っておくと温度管理が楽ですが気持ち高くなります。
■餌はとりあえずアピスト人工飼料の定番。テトラ ディスカス。昔はディスカスフードって名前じゃなかったでしたっけね。
いつからか変わったんでしょうか。
でもエサは生餌や冷凍餌が栄養価高くて良いですけどコストと手間が掛かるのですが、たまにはあげてください。
ワイルドの場合人工飼料に食いつきが悪いやつもいるのでそんな時は生餌か冷凍餌からスタートしてください。
■中和剤は値段で選びました。
■底砂は田砂を選びました。
■pH測定は飼育に慣れるまで確認しておきましょう。7.0以下をまずは心がけましょうか
■亜硝酸NO2も最初はしっかり測りましょう。慣れないうちから放っておくと結構死にます。
■シェルターはアピストが隠れる場所を造ります。
とりあえず、適当な値段をかきましたが、安くても大丈夫です。産卵床にもなります。流木はアク抜き済みのものがオススメです。
■水草ですが、必須ではないです。ただ水草を入れておくと目にも良いし、水の循環も助けるそうなので、水質も安定します。
ウィローモスはただ丸めて入れておいても良く育つので初心者にはうってつけの水草と言えます。流木に木綿糸で巻きつけておくと活着する性質があります。
ミクロソリウムや、ボルビディス、アヌビアス、ブセファンドラなどのシダ系、サトイモ系の活着水草も見栄えがして良いです。隠れ場所にもGood!
器具の詳細はこんなところでしょうか。
選んだ価格帯はま、それなりのものではあると思いますので安心して飼育をはじめられると思います。
これを高いとみるか、安いとみるかは価値観の話なので、ネット通販や、C to Cサイトで探して安く始めても良いですし、ADAなどのブランドもので固めても良いと思います。
あくまで参考にしてください。
(お財布の中身の許す範囲で用意できれば)
2.セットアップ
■水槽
それではいよいよセットアップです。
水槽を置く場所からしっかり考えましょう。水槽に水やら砂利やらを入れると結構重たくなるので丈夫な台に乗せることが肝心です。
表面が平らで、接地面が平行であることも大事と本などで謳っていますが、あまり神経質にならなくても大丈夫です。
水槽専用の台や、ホームセンターで耐荷重が大きい台を選んだり作ったりと、30cmキューブ水槽程度であれば実際30kg弱なので丈夫そうなデスクの上なら大丈夫でしょう。
120cmや180cm以上の水槽を置く場合は、水槽台を置く床も強化しなければなんて話もありますが・・・。
さて、水槽を置く場所が決まったら今度こそ水槽を立ち上げます。
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3.水づくり
■ここがアピストグラマを飼育するための肝です。アピストの水づくりができれば、弱酸性軟水を好む魚の飼育をだいたい買うことができます。
其の壱「熱帯雨林地方は弱酸性の水が多い」
アピストグラマは南米のアマゾン川を中心に分布しております。
熱帯雨林地方の山間部などから流れる川は落葉などからでる有機酸の影響を受けて栄養豊富な弱酸性の琥珀色の水、ブラックウォーターであるということは有名です。
そんなところに生息しているわけですから、基本的にアピストグラマはほとんどの種が中性から弱酸性付近の水を好みます。
ということで、飼育水を弱酸性にしていく必要があるわけです。
其の弐「水の弱酸性化」
さて。観賞魚飼育の水質には弱酸性~中性~弱アルカリ性の範囲で主に調整し、その魚にあった水を用意していくことになります。
アピストグラマは前述のとおり、弱酸性~中性あたりの水質を好みます。
この水質を作るには、
1.水道水による換え水(日本は比較的中性~弱酸性と言われています)
2.RO水からpHコントロールした換え水
3.ろ過をうまく使う
4.ソイルに頼る
自宅で水質を弱酸性にしていこうとすると上記選択肢かそのコンボとなります。実際、日本の多くの水道水は平均ph7.0前後がほとんどだそうです。
飼育だけなら中性付近で問題ないので、非常に飼いやすい魚と言えそうです。
1.の場合、元水の水道水が弱酸性なら儲けもんですね。適宜水替えしておけば弱酸性は保たれるわけです。
巻貝とか、変なものない限り、pHが変にアルカリ性になることは余りないです。
そうは言ってもpH7.0~8.0程度であれば、元気に生きています。弱酸性でも、ろ過の利いていない汚い水の方が良くないです。
2.の場合は、結構専門的だし、面倒だしで。淡水でRO水やっている人はマメな人です。元水が相当問題ない限り必要はないです。
3.の場合は、一番簡単に弱酸性に傾けることができるやり方です。フィルターのバクテリアが、硝化作用を引き起こす副産物、硝酸塩がたまるとどんどん水は酸性に傾いていきます。
あまり放っときすぎも良くないです。フィルター+換え水でせいぜい6.0程度を目指しましょう。多くのショップやマニアがこのやり方じゃないでしょうか。
4.の場合は、ソイルを入れてしまえば、3か月前後水が勝手に弱酸性になりますので、お手軽かもしれませんね。
ソイルは目がつぶれるとフィルターを汚すので、管理が面倒な部分が玉に瑕です。バンバン取り換えるならいいかもしれませんが、コスト高とも言えます。
と、昔は「こなれた水(konareta water?)」などと言う表現を使い3.の場合をさしますが、バクテリア十分にいる安定した水質で飼育することが前提でした。
今は、ソイルなどもあるし、より簡単に育てられるようになりました。
其の参「実践編」
私の場合は面倒くさがり屋なので、フィルターと換え水を使った管理しかやりません。
アピストの単体飼育だけであれば、これさえマスターすれば換え水もたまにだけで済み、普段は足し水と言って「減った水を足す(hetta water plus)」だけです。
苔が生えて汚くなってもこれで管理する人がいるくらいです。
私は苔って魚が見えないのは耐えられないので、適宜苔もとります。
【本題の水作り】
まず、私の家の水道水はph7.2~8.0ぐらい。(弱アルカリ性です。)暇とお金があったら、家の水道水のphぐらいは1回ぐらい測って把握しておくと良いでしょう。
→水質測定に関してはこちらから。
でとりあえず水槽に水を入れます。(水は必ず中和します。)
スポンジフィルターを設置・稼動します。
水温は25℃~27℃くらいでいつも保っておきます。
ウィローモスとか、ミクロソリウムなども入れておいてください。
ん?これで完成?
とはいきません。ここにいきなりアピストを泳がすと、比較的に高い頻度で換え水しないとたぶん死にます。
なので、ココからが水作りです。私に教えてくださったショップの人が言うには
立ち上げてすぐの水槽にプレコを一匹入れて泳がせておけば1週間ぐらい経てばその餌の食べ残しや糞をたよってバクテリアが発生しフィルターが立ち上がるそうです。
プレコは初期の水質悪化に強いんですかね?
しかし!初心者は水槽が一本しかありません。そこでとりあえずフィルターを回しておく。
アピストはまだ購入しないでください。
その間に、アピストを購入しショップで売約済みのシールなどを貼ってもらい、セレブ気分で待ちましよう。
バクテリアを買えばいいのだ!使ったことないけどバクテリアは売っています。そういうの使えばショーっとカットだ!
でも、放っておいてもなんとか立ち上がります。勝手に水は汚れるわけです。汚れればバクテリアは現れます。
2週間程度でだいたい行けます。魚を連れてくる前に念のため亜硝酸測りましょう。
テトラ社よりテトラテストNO.2という商品があるので購入して測定します。
ここで亜硝酸濃度が高かったらまだ魚は入れません。
待ちます。なくなるまでまちます。水換えは特にいりません。
問題無いようでしたら魚を入れて、一日一回No2を測定します。餌もあげます。普通にあげます。
1週間くらい様子をみて魚も元気であれば、概ね問題ないでしょう。
これでも慎重な方です。私は初日に魚入れて、なんとなく苔の具合など見ながら水替えしつつという感じです。
と、最初は亜硝酸とのお付き合いから始まります。こいつの扱いさえ間違えなければ初期の失敗率は少ないでしょう。
(魚が飛び出るとか、けんかして死ぬとか、そもそも導入前から病気もらってたとか、ヒーターの電源が・・エアポンプの電源が・・・とかは知りません。)
その後は気になる方は細かくチェックしましょう。
アピストは、結構丈夫な魚なのであまり神経質でなくても大丈夫です。
あとは水質のバランスを崩さないよう管理します。
餌のあげすぎは禁物です。魚にも食べすぎは良くないし、食べ残しなどで大きく水質バランスを崩す原因になりかねません。
餌は食べ残しがない程度・水換えは2週間~3週間に一回ぐらいで十分。(その間は減った分水を足してください。)
餌を多めに挙げる人は亜硝酸に気を付けながら換え水頻度をあげるなど工夫してください。
(スポンジフィルターを使用中なら定期的にスポンジをゆすぎましょう。 2ヶ月~3ヶ月に1回くらいはゆすいだ方がエアーの出が良いです。)
あんまり水換えを換えなさ過ぎてもよくないです。変えなさ過ぎると酸性になりすぎます。換え過ぎは賛否ありますかね。毎日とかつらい・・・)
又、しっかりフィルターが立ち上がれば多少の餌のあげ過ぎは耐えますが、
初期の段階はまだ不安定。立ち上げ一ヶ月ぐらいは少な目が良いですかね。
その後 亜硝酸が検出されたら、すぐ換え水をします。半分以上換えても良いと思います。
1週間ぐらい検出されなければ大丈夫だと思いますよ。
こうなると、1ヶ月、2ヶ月とバクテリアの量や、水質も安定してきて手間いらずのアピスト飼育が楽しめます。
慣れてくると結構楽に感じてきて、2種目、3種目と水槽が増えていくのでありました。
その後のメンテについてはメンテの項目で詳しくご紹介します。
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■道具の購入からセットアップ。そして水作りへと流れていきました。
水作りに関してはどうしても最終的には個人の勘を育てるともっと楽になります。未だに水質検査とかたまにやりますが。
そのためにはあせらずじっくり管理していくことが大事。
ますはセット~1ヵ月に注力して頑張ってみてください。
それではメインのアピストグラマをお店に探しに行ってみてください。
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■アピストをうまく導入して、育てられるようになったら次のステップは繁殖です。
水質や、エサ、温度、アピストの産地などで気を付けることがあるようです。
1.明るい家族計画
■いたずらに繁殖させても育てることができるのか、水槽に入るのか?など一応考えておいてください。
アピストは1回に2,30個の卵を産みます。そうすると、うまくいけば稚魚も2,30匹前後が浮上してにぎやかな光景になるのですが、大人になる過程で水槽一本だと気持ち難しかったりします。うまくいく例もあるようですが、水槽は2本以上あると良い。一本で行くなら大きめ(45㎝水槽以上)が良いです。
など少し準備しておいた方が良いと思います。
【水槽】
個人的には45㎝以上の方が稚魚が浮上しやすいかなと思います。30㎝水槽でも行けますが、水が少ない分水質の変動もしやすく、お仕事している人だと管理がしづらい面があるかも。
最初から水量多めで行った方が良いのでは?と個人的には思います。
【水質】
弱酸性に傾けた方が良いと言う意見は多いようですが、ディプロとかでもpH6台で繁殖しますのでそこに神経使うよりは、フィルターが良く利いた水のキレイな環境の方が良いかなと思います。
※そこまで多くのアピストの種類を飼ったわけでもないので、種類でも違いたが多少あるもも聞いたことありますが、どうなんでしょう。
【水温】
25℃より28℃とかちょっと暖かめの方がうまく行く気がします。そうなるとオートヒーターはちょっと使いづらく、サーモスタット付きの方が管理しやしすいかも。
あくまで参考程度ですが。
【餌】
繁殖向けには、冷凍赤虫、ブラインシュリンプなど栄養があり、嗜好性が高い物あげたいですね。栄養をつけさせましょう。
2.産卵
■ペアで飼って順調に育っていれば、いつの間にかメスの色がいつもより黄色くなり、さらにその数日後、メスがオスを殺す勢いで追いかけている場面に出くわします。
これは、卵を産んだ合図です。
メスは卵を守る修正がありますので、近づくものすべて殺す勢いで追いかけまわします。で、ここが問題です。仲の良いペアも居れば、本当に殺す勢いの奴もいます。実際に、追われまくって、オス死んじゃったなんてこともあるみたいです。
というわけで、産卵のコーナーです。
【産卵させるには?】
そうは言っても産卵しないぞというパターンもあります。相性もあるかもしれませんが、だいたいペアになり順調にいけば産卵までは持っていけると思います。
ここに関しては、前述の項目を見直してもらうのが一番かなと。
水替えした時に、ちょっと温度上げ気味にしたら産卵したとか色々あると思いますが、まずはメスが性成熟し、黄色くなる場面に遭遇しないとステップは進みません。
メスは産卵前はおしとやかでおとなしい場合が多く、オスに殺されるぐらい追われることがあります。そんな時はなかなか生みません。メスが隠れやすくしてあげたり、水槽を少し大きくして障害物を多く入れたりと工夫をしてみると良いかもしれません。
30㎝水槽などで飼育していると、オスとメスの距離が近すぎて、一方的にメスを追い掛け回すなんていう場面に出くわします。
まずはメスが黄色いか。水質、水温、オスとメスの関係などよく観察してみてください。
3.稚魚の育成
産卵が確認できたら、10日前後で稚魚が浮上してきます。実際は数日後に卵からふ化しますが、ヨークサックを使い、動き出せるサイズになるまでもう数日かかるわけです。
そうなるとお母さんと稚魚の微笑ましい姿を見ることができますが、飼い主はここからが大変。
主にブラインシュリンプを主食に進めます。なのでブラインシュリンプを沸かさないと(培養しないと)いけません。
淡水魚は海水魚と違い、必須脂肪酸を自分の体内で作れるそうなので、脂質が少なくたんぱく質の多いブラインシュリンプは理想的なエサの様です。
ブラインシュリンプを中心に、冷凍エサのミジンコ、ミジンコ、だんだんアカムシも食べられるようになって成長を見守りながらエサの種類も増やしています。
人工飼料も適宜あげるようにはしています。
個人的には職業ではなく、趣味でアピストグラマ飼育をしていますので人工飼料に慣れてくれれば、忙しい時でもエサの時間をさぼれますので必須です。
でも、生餌や、冷凍エサは細目に与えていると、育ちが早く大きく育つ感じはあります。
お店で見ると、ディプロタエニアが自然界よりあきらか大型になっているなんてのも見ます。
それはそれで、オオクワガタのようなデカくするブリードの世界を目指すのも良いですが、与えすぎには注意して種親に似た良いスタイルに成長させたいですね。
4.最後に
このコンテンツはあくまでアピストグラマ初心者講座なので、導入~育成~繁殖のサイクルを楽しむことを目的に作りました。
初心者の方が実践しやすい内容をこころがけました。
しかし、アピストグラマの多くの魅力があり、そのスタンスも十人十色。
アピストグラマは種類や亜種が多くありコレクション性が高く、複数の水槽を用意したり、専用のアパート設備を作り複数種を同時飼育するコアユーザーがいたり、
また、水草レイアウト水槽に泳がせて混泳を楽しむという方もいます。
一種入魂も良いですし、ワイルド採集ものにこだわったり、海外の有名ブリーダーの改良品種を楽しんだり。
是非、自分にあったアピストグラマ飼育を見つけて、流行り、廃りでなくその種をみんなで愛していきましょう。